2021/07/07
ネコ科の動物は遺伝的に他の動物と比べ早期に腎機能が低下します。
東京大学宮崎徹教授の研究で腎の近位尿細管に詰まってしまうゴミを掃除するAIMと言うタンパク質が働かないからだと判ってきました。
このAIMと言うタンパク質がIgMに捕捉され遊離できず本来の尿細管内での仕事が出来ないのが、ネコ科動物の現状です。
今の時点ではセミントラ・ラプロス・フォルテコールなどで進行を遅くすることしか出来ません。
起きてしまった尿毒症はコバルジン・マイメジン・ネフガードなどにより毒素吸着するしかありません。
尿量増加による脱水の改善には定期皮下皮下補液が必要不可欠です。
食事療法やリンのコントロールも必要になってきます。
治療には飼主の方の大変な時間的な経済的なご負担が欠かせません。
今、研究者の方々がこのAIM製剤の開発に尽力されております。
今はまだ臨床に応用されておりませんが、近い将来猫の腎不全を防げる日が来ることでしょう。
猫は本来老化も遅く癌発症率も低いので腎不全が抑えられれば寿命30年も夢ではありません。
動物病院としては少しでも安くこの薬が提供できる日が来ることを待ち望んでおります。