2020/11/22
今月を振り返ると、肥満細胞腫の手術が多かったような気がします。白血球の仲間のうちヒスタミン産生細胞が腫瘍化した物です。
肥満細胞腫と診断すると飼主の方々は一様に肥満ですか?と、勘違いします。しかしこれはとても恐ろしい病気の一つです。
人間の場合と異なり、特にイヌ科の動物で悪性の病態になることが多く、当院では全腫瘍のうち約20%を占めております。
ただ、早期発見早期完全摘出を行えば、決して予後不良な病気ではございません。比較的大きめに摘出することが肝要です。
手術後に病理検査でPatnaik分類でグレード2や3であればkit変異を検査してトラセニブと言う分子標的薬の適用の有無を決めます。
ただ、抗がん剤に良いイメージの無い飼主の方や動物自体が副作用で治療継続し難い場合には別の方法もございます。
東京大学獣医外科の望月教授の発表されているプレドニゾロンとインターフェロンガンマを用いた方法です。
費用も抗がん剤と比べて比較的安価ですのいで経済的とも言えましょう。
この方法を適用してから患者様の再発率も延命もかなり改善され、何よりも「QOLが格段に良い治療」が出来ております。
吐き気や食欲不振に悩まされることも、脱毛や元気消失も無く、今まで通りに普通に楽しく過ごせますよ!
皆様お大事にして下さい。